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お客様紹介:様々な装置や技術を組み合わせ、最適なニトロソアミン類分析法を提案―――JFEテクノリサーチ株式会社

 

JFEテクノリサーチ株式会社は、JFEグループの総合技術サービス会社です。分析、試験、検査・計測、CAE(Computer Aided Engineering)解析、技術調査、知的財産支援など幅広い技術サービスを提供しています。2004年10月に川鉄テクノリサーチ株式会社、鋼管計測株式会社、日本鋼管テクノサービス株式会社の3社が統合して発足し、20年以上にわたり、さまざまなお客様の技術課題解決を支援しています。

同社の強みは、鉄鋼・金属材料分野で培った高度な分析・評価技術を基盤に、樹脂・複合材料、電子材料、電池材料、環境・エネルギー、医薬品・医療機器など幅広い分野へ展開していることです。ナノレベルの微量成分解析から大型構造物の評価まで、一貫した分析・評価体制を構築しています。

近年は医薬品分野にも注力しており、不純物分析、構造解析、溶出試験などを通じて、許認可申請支援や研究開発支援などの高度な分析ニーズへの対応を強化しています。医薬品の不純物分析においては、世界的に関心が高まるニトロソアミン不純物の分析にも対応し、分析対象や試料ごとに最適な分析法を提案するため、アジレントのLC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)システムも活用しています。

JFEテクノリサーチ株式会社 分析・解析技術Division 医薬・有機材料評価センター グループ長として、センター業務と試験全体を統括する鈴木 冬彦 氏、チーフの伊藤 哲也 氏、試験責任者の中島 拓都 氏、試験担当者の岩澤 美奈代 氏に話を伺いました。

 

(左から)JFEテクノリサーチ株式会社 分析・解析技術Division 医薬・有機材料評価センター 岩澤 美奈代 氏、中島 拓都 氏、鈴木 冬彦 氏、伊藤 哲也 氏

 

 

医薬品不純物としてのニトロソアミン

JFEテクノリサーチでは、2016年頃から医薬品分析の分野に事業を拡大しています。それまでも環境ホルモンや食品の残留農薬などの分析を手掛けており、この分野で培ったGC/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)、LC/MS、NMR(核磁気共鳴装置)、前処理技術などの技術基盤が、医薬品、特に医薬品の不純物分析にも応用可能であったことが参入の理由のひとつとなりました。また、製鉄会社が親会社であることから、金属分析の技術には長けており、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)などを用いて、医薬品の元素不純物の分析(ICH Q3D)にも対応できるという利点もありました。

近年、医薬品不純物分析のなかでも特に需要が高まっているのが、ニトロソアミン類の分析です。ニトロソアミン類はアミンと亜硝酸などの反応によって生成される化合物群で、一部に発がん性が報告されていることから、医薬品の品質・安全性の観点で世界的に対応が必要とされています。2018年頃から医薬品中のニトロソアミン不純物への関心が急速に高まり、2021年には厚生労働省が製薬企業に対し、「医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検」(2021年10月8日。薬生薬審発1008 第1号, 薬生安発1008 第1号, 薬生監麻発1008 第1号)を求める通知を発出しました。これを受け、製薬業界では関連分析ニーズが大きく拡大しました。

同社にも、2018年頃、あるお客様からニトロソアミン分析についての相談がありましたが、保有していた設備では、お客様の要求を満たす分析が難しかったと言います。分析ニーズの高まりを背景に、同社でもニトロソアミン分析に対応可能な装置を導入し、2023年から関連分析サービスを提供しています。

同社が提供するニトロソアミン不純物分析のサービスは大きく2つに分けられます。ひとつが一般的な低分子ニトロソアミン類の分析で、厚生労働省の「医薬品におけるニトロソアミン類の混入リスクに関する自主点検」で示された代表的なニトロソアミンとして管理対象となっている9成分に加え、関連する1成分を含む計10成分を一斉分析するサービスです。もうひとつがニトロソアミン原薬関連不純物(NDSRI)です。原薬やその関連化合物がニトロソ化反応によって生成するニトロソアミン不純物です。医薬品ごとにどのようなニトロソアミンが生成される可能性があるのかは、個別に検討する必要があります。

鈴木氏はニトロソアミン分析を「夾雑物との戦い」と表現します。既知のニトロソアミン類10成分の一斉分析においても、夾雑物に応じて、医薬品ごとに最適な分析条件を検討する必要があります。また、NDSRIの分析においては、製剤ごとに測定対象が異なるため、個別に分析法を開発する必要があります。試験責任者の中島氏は、「当社では、GMP省令に準拠した試験体制を整えています。さらに、長年培ってきた前処理技術と構造解析技術を組み合わせることで、対象成分や試料マトリックスに応じた最適な分析法を構築できます。NDSRI分析においては、試験法の開発からバリデーションまで対応し、当局への申請・提出資料に活用できるレベルのデータ取得が可能です」と話しています。

 

新たな分析装置で「夾雑物との戦い」に挑む

同社では、お客様からの分析依頼への迅速な対応、低濃度の定量分析の要求増大、対象成分ごとに条件検討が必要な案件の増加などを背景に、2024年から新たなLC/MS導入の検討を開始しました。導入したのは、「Agilent 6475 トリプル四重極LC/MS」と「Agilent Ultivo トリプル四重極LC/MS」の2つのシステムです。複数メーカーの装置を比較検討した結果、アジレント製LCが備える「Feed注入」機能に着目しました。「この機能により、前処理後の試料を無理に水系へ溶媒置換することなく、有機溶媒組成のまま分析へ供することが可能になります。そのため分析操作の簡略化に加え、サンプル溶媒の影響を抑えた条件設計が可能となり、結果としてマトリックス由来の影響低減や質量分析計への負荷軽減が期待できると考えた」と鈴木氏は振り返ります。この理由も一因となり、アジレントのシステムの導入を決定しました。

新たな試料については、通常、Ultivoで分析を行います。Ultivoでの分析の結果、より高度な分析が必要な場合には、6475で分析条件を検討しています。2025年夏の稼働開始から1年が経過していますが、中島氏は両装置の安定性を実感しており、「受託分析では限られた納期のなかで複数の試料を測定するため、長時間にわたり安定した感度と再現性を維持できることは非常に重要」と話しています。また、ソフトウェアの操作性の良さも感じており、具体的にはメソッド作成やデータの確認の流れが分かりやすいことを指摘しています。「医薬品分析では、分析条件の変更履歴やデータ管理も重要になるので、日常的な運用のしやすさは大きなメリットです」と、中島氏は述べています。岩澤氏は「初心者でもMethod Optimizerを活用することで、質量分析計の条件最適化を容易に行うことができます。金曜日にセットすれば、月曜日の出社時には最適な条件が見つかっているので、業務の効率化につながります」と話しています。

 

より高度な分析ニーズに対応する際には「Agilent 6475 トリプル四重極LC/MS」を活用

 

 

小型のトリプル四重極LC/MS「Ultivo」。「省スペース性も、限られた実験室スペースを有効活用するうえで大きな利点」(鈴木氏)

 

 

また、アジレントのサービスに対しても好意的に評価しています。中島氏は、「問い合わせをした時のレスポンスが速く、『まずはこれを試してほしい』と、すぐに次のアクションを提案してもらえるため安心して運用できます。重大な問題でなくても何かしらヒントが得られると期待して、頻繁に問い合わせするようにしています。」と話しています。加えて伊藤氏は、「メーカー主催のワークショップやインハウスセミナー等、各種セミナーを積極的にご案内いただき、若手分析者の育成に大きな助けになっています」と話しています。

今後の分析技術に対する期待についてお伺いしたところ、鈴木氏はこう語りました。 「データ解析の効率化や、複雑なマトリックス試料に対する分析条件開発・解析支援機能の充実に期待しています。NDSRIや未知不純物の分析では、対象成分ごとに条件検討やデータ確認が必要になるため、AIや自動判定技術を活用した支援が進むと、より効率的な分析が可能になると期待しています。」

今後を見据えて

JFEテクノリサーチでは、指定ニトロソアミン類やNDSRIについて、技術や装置など、さまざまな「手札」(選択肢)を組み合わせ、お客様に最適な分析法を提案できることが強みです。将来に目を向けると、原薬や添加剤、包装材料、製造工程に由来する未知または新規の不純物をいかに科学的にリスク評価するかが重要になると見ています。同社の有する医薬品分析と有機材料評価の両方の知見を活かし、ニトロソアミン類、E&L(抽出物・溶出物)、元素不純物、分解物、添加物由来成分などを総合的に評価できる体制の強化を目指しています。ICH Q3E(抽出物・溶出物に関するガイドライン案)が2025年に公開されており、現在はこの案に沿った分析体制の構築を進めているところです。

また、各種LC/MS、NMR、ICP-MS、ラマン分光、蛍光顕微鏡等の表面分析・材料解析技術を組み合わせることで、単なる定量分析にとどまらず、不純物の発生原因や生成メカニズムの解明、リスク低減に向けた技術支援も提供できる環境を整えていく考えです。


 

JFEテクノリサーチ株式会社

本社:東京都千代田区大手町一丁目6番1号 大手町ビル4 階

設立:2004年10月(※川鉄テクノリサーチ株式会社、鋼管計測株式会社、日本鋼管テクノサービス株式会社の3社が合併)

事業内容:分析、試験、検査・計測、CAE(Computer Aided Engineering)解析、技術調査、知的財産支援など総合技術サービスの提供

 

本記事に掲載の製品はすべて試験研究用です。診断目的にご利用いただくことはできません。
(Not for use in diagnostic procedures.)

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