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汚染物質が作物に及ぼす影響

2018年9月20日

 
  大気中、水中、土壌中の汚染物質が、作物に吸収されることはあるのでしょうか?

先日、山火事の煙に含まれる物質がワイン用のぶどうに吸収されるかというテーマを、ブログでご紹介しました。大気中、水中、土壌中の環境汚染物質はどうでしょうか? 私たちが口にする作物に入り込んでしまう可能性はあるのでしょうか? これについて何かできることはあるでしょうか? 研究者はアジレントの技術を活用しています。

イタリアのシシリー島 といえば、その肥沃な土壌でしょう(火山の噴火による)。反対に、イタリアの研究者は、「シシリー島の土地は、起業家や実業家に攻撃され、傷つけられ、荒廃させられ、毒されている」と記しています。

研究者らはアジレントのICP-MSを活用して、シシリー島の作物中に含まれる砒素、水銀、ニッケル、鉛、カドミウム、クロム、アンチモン、バナジウム、炭化水素、ベンゼン、トルエンを含む、毒性・発がん性有機化合物を分析しました。

研究者らは、アーティチョークトマトから、高濃度のカドミウム、鉛、砒素を含む「重大な危険性のある毒性無機物」を発見しました。近隣の石油化学コンプレックスからの燃焼煙のほか、重金属にひどく汚染された灌漑用地下水が原因だと、研究者らは考えています。

解決策の1つが、汚染された土壌からの毒性物質をほとんど吸い上げない作物を栽培することです。アジレントの液体クロマトグラフを使用して、中国の研究者は、ペルフルオロオクタン酸(PFOAの蓄積が少ない3種類のレタス特定することに成功しました(PFOAは非常に毒性が高く、持続性のある有機汚染物質)。研究者は「低PFOA品種の同定は、大きく汚染された土壌での栽培でも、食品安全性の確保に貢献する可能性がある」と記しています。

もう1つの解決策がファイトレメディエーションです。この手法は、生きた緑葉植物を、土壌や地下水に含まれる汚染物質の除去、分解、封じ込めに使用するものです。

アメリカのミシシッピ川は、もっとも肥沃な農業地域の1つであり、 その流域は31州にまたがってます。米国の研究者らは、ミシシッピ川渓谷において、のファイトレメディエーションを研究しました。彼らは、米が土壌中のジアジノン、シスペルメトリン、オルトリン酸の量を大幅に減らせることを発見しました。

この研究者らが分析に用いたのは、アジレントのガスクロマトグラフ、 オートインジェクタ、 カラム 、ChemStationソフトウェアでした。

米の優位点は、米自体も食用作物であるという点です。「今後の研究で、汚染物質が種子には移行しないことが明らかになったとすれば、米は潜在的には、レメディエーションツールとして寄与するとともに、農業汚染問題に直面している国において食品の源にもなりえる。」と研究者らは記しています。

 

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